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1)いつも幸せに 頭の血のめぐりを良くし、神経幹細胞の働きを促進するためには、ボケさんにいつも幸せに暮していただくことが必要です。 幸せは、誰にも束縛されずに自由に生き、今、自分のできることで周りの人の役に立つ働きができる時に感じるものです。 イ.いつも自由に 夜中に窓から出て行こうとしたり、お孫さんに大便を食べさせようとしているのを見ても、ダメと叱ってやめさせるのではなく、ボケさんがもっと喜ぶこと、例えば美味しいお茶とお菓子をさしあげることで、危険なことや不潔な行いをやめていただきます。 オムツを替えたり、お風呂へ入れようとする時にも、ボケさんがいやとおっしゃったら、強制的にはやらずに暫く待ち、いやと言ったのを忘れた頃にもう一度声をかけ、本人が了承されてから行うようにしましょう。 ロ.いつも楽しく 人によって楽しめることは違いますから、先づ、何を楽しめるかを探し出し、それを一日に何回か繰り返し楽しんでいただきますが、本人がやる気のない時には強制せず、また、いつも上手ですねと褒めると効果的です。 音楽好きなボケさんが音楽を毎日楽しんでいますと、痴呆が改善し、死亡率は低下します。 ボケさんの楽しめる曲目は、痴呆の病型と曲にまつわるその人の想い出によって違ってきます。 音楽の中枢は側頭葉の中側頭回にありますが、アルツハイマー病では、初期から中側頭回がやられますから、音楽の三要素の中でも、最も原始的なリズムだけしか楽しめなくなります。 だから、アルツハイマーの患者さんは、リズミカルなロック、サンバそして行進曲などを喜ばれることが多いのです。 血管性痴呆では、中側頭回に病変が発生するのが少ないですから、リズムやメロディーだけでなくハーモニーも楽しめます。 ややスローなテンポの美しいメロディーのクラシック曲を好まれることが多いですが、スローなテンポの美しいメロディーは、血圧を下げる効果もあります。 ボケさんが唄う場合には、ナツメロよりも民謡を喜ばれる傾向がありますが、その理由は、現在の日本の老人達がナツメロで思い出されるのは、若い頃の辛く悲しいことが多いのに、民謡では、盆踊りやお酒を飲んだ時の楽しかったことを思い出すことが多いからではないかと私は推定しています。 ハ.役割を生きがいとして 誰でも役立たずだと見なされることほど、辛く悲しいことはありません。 ボケさんが今でもできる働きを探し出し、例えば、食後に食器を洗い場まで運んだり、洗濯物をたたむことができたら、それを一緒にやりながら、ありがとうね、助かったわと度々声を かけますと、ボケはしばしば良くなってきます。 2)動脈硬化対策 動脈硬化は、糖尿病、高血圧、高コレステロール血症、酸化ストレス、喫煙と大量飲酒などで促進されます。 イ.血糖の調整 若い人では恐ろしい合併症を防ぐために、血糖値を正常に近づけることが必要ですが、高齢者では正常値にしようとすると、低血糖になりやすいだけでなく、低血糖症状(頭重、冷汗など)に気づかないことが多いですから、非常に危険です。低血糖は痴呆を悪化させるだけでなく、脳梗塞、心筋梗塞、眼底出血なども誘発します。 年をとるとともに、空腹時の血糖値はあまり変動しなくなりますが、食後の血糖値は高くなることが多いですから、ボケさんでは、食後2時間の血糖値200位を目標として、血糖の調整をします。 ロ.血圧の調整 加齢とともに血圧を調整する働きが弱ってきますから、一日の中での血圧の変動が異常になってきます。 脳は重要な臓器ですから、血圧が変動してもいつも一定の血液が供給される仕組みになっていますが、この脳循環の自動調節能も、年をとるとともに働きが悪くなってきます。 血圧の急上昇は脳を傷つけ、逆に、血圧が下がると頭への血のめぐりが非常に悪くなります。従って、起床時と就寝前に座位で上腕の血圧を測かって、60歳代では140位、70歳代では150位、80歳以上では160位を目標として、血圧を調整します。 ハ.高コレステロール血症 血液中のコレステロールが多いと、動脈硬化だけでなく、アルツハイマー病も促進されます。 食事と運動の注意を守ってもコレステロールが減少しない時には、スタチン剤の内服が必要です。 3)酸化ストレス対策 イ.運動量の調整 運動量が多ければ多いほど、体の中で産生される活性酸素は増えますから、徘徊を促進する回廊式廊下は、酸化ストレスのために、痴呆を増悪させ、寿命を縮めます。 軽い運動を20分位しますと、運動で活性酸素が作られるペースよりも、これを消す抗酸化酵素の産生の方が高まりますから、酸化ストレスを予防できます。ともかく、20分動いたら、休むことが大切です。 ロ.食事の注意 抗酸化食のビタミンE(カツオ、マグロ、ウナギ、豆類、カボチャ、ゴマ油など)、ビタミンC(柑橘類、緑茶、ブロッコリー、カボチャ、小松菜、イチゴ、キウイ、ピーマンなど)、ベーターカロチン(緑黄色野菜、緑茶、柿、メロン、桃など)、フラボノイド(赤ワイン、緑茶、大豆、タマネギ、ゴマなど)を、十分に摂ること。 葉酸(緑葉野菜、牛乳、豆類、薩摩芋など)、ビタミンB12(魚貝類、海藻、チーズなど)とビタミンB6(魚貝類、牛乳、豆類、薩摩芋、バナナなど)の摂取が足りないと、血液中のホモシスティンが増加して、体内での活性酸素発生が増え、側頭葉の内側面が萎縮します。 リノール酸系の食物油(ベニバナ油、トウモロコシ油、サフラワー油など)を摂り過ぎますと、酸化ストレスを起こします。 ハ.その他 長時間の日光浴、放射線、タバコ、ダイオキシン、ジーゼル車の排気ガスなどでも、活性酸素が発生しますから注意しましょう。 4)痴呆悪化の予防法 イ.ひとりだけにしない ひとりだけでほっておかれますと、電話が鳴っても、集金人が来ても、どう対応したらよいのか分かりません。 このような不安や精神的混乱は、脳のブドウ糖と酸素の需要を大幅に増やしますが、ボケさんではその供給が充分にできませんから、痴呆はどんどん悪くなります。 ボケさんの信頼している人が、いつも傍にいて支えてあげ、安心して暮らせるようにしましょう。 ロ.環境を変えない 環境の変化に適応する能力は、加齢とともに低下しますが、ボケさんでは特に弱くなっていますから、引越し、新築、入院、老人ホームへの入所などは、できるだけしないように。 特に、病院や老人ホームのような大規模施設では、職員も入居者もともに数が多く、非常に複雑な人間関係の中へ投げ込まれることになりますから、痴呆は必ず悪化します。 自宅での介護が限界になったら、比較的家庭の環境に近い、グループホームやユニットケアの施設を利用されるとよいでしょう。 ハ.合併症の予防 誤嚥性肺炎、骨折、脳卒中などの合併症を併発すると、痴呆が一挙に増悪しますから、くれぐれも合併症は起こさないように気をつけましょう。 |
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